運動を苦手とする広汎性発達障害児における運動発達調査
―幼児期2例を対象として―


キーワード:広汎性発達障害(PDD)児、粗大運動、幼児期





一箭 良枝
広汎性発達障害(以下PDD)児の中には、体操や球技をはじめとする粗大運動を苦手とする子供が多いことが指摘されている。本研究では、運動を苦手とするPDDのある5歳男児2名を対象として運動発達調査を実施した。評価指標として、MKS幼児運動能力検査、及びTest of Gross Motor Development-U(TGMD-U)を用いた。運動発達調査の結果、MKS幼児運動能力検査ではほとんどすべての項目において同年齢の標準値を下回っていた。TGMD-Uでは、移動能力で7〜8ヵ月程度、物体操作能力で2年5か月以上、運動発達に遅れがみられた。これらの結果から、PDD児の運動発達は、幼児期の5歳の段階から遅れがみられる可能性が示唆された。また、道具を使用した物体操作能力の遅れがより大きい可能性も示唆された。本研究から、幼児期の段階から運動能力に関する支援が必要であり、特に、道具を使用した物体操作能力に関する支援が重要である。

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