色の違いが有酸素作業能力に及ぼす影響


キーワード:色彩・有酸素運動・心理作用



岩本 宏子
色彩による心理効果はいろいろな分野で活用されている。しかし、体力の構成要素別特に、有酸素運動を行った場合の報告は皆無に等しい。そこで、本研究は、色彩の異なる視覚刺激の有無が、有酸素運動を行った場合に、どのような影響を及ぼすかについて検討した。更に、リハ体育訓練にも色彩心身効果を導入するための基礎的資料を得ることを目的とした。
被検者は、健康な学生6名であった。Lops法により推定した最大酸素摂取量(VO2max)を元に、50%VO2maxの運動強度で、自転車エルゴメーターを用いた20分間の有酸素運動を、異なる3色(赤・青・白)による視覚刺激の有無にて計6回、ランダムに行い、運動前後の体温、Visual analog scaleを用いた自覚的疲労度、運動中のHR、BPを測定した。また、測定前後に色彩に関するアンケートを行った。
その結果、運動前後の体温は、色の違いにより影響を受けた。運動時のHRの変化は、視覚刺激有が有意に高位を示した(p<0.05)。運動前後の心理的変化は、赤は、集中力・時間の流れ、青は、疲れ・気分、白は、呼吸状態に変化をもたらした。また、視覚刺激の有では、疲労感と集中力で有意に高位を示したが(p<0.05)、視覚刺激無では、色による変化は認められず、色をイメージするだけでは、色彩心理効果の影響を受けないと考えられた。
色に対するイメージは、被検者間で、共通する面が多く、元気が出る色や運動の色は暖色系、元気が出ない色や休憩の色は寒色系をイメージしていた。つまり、色による視覚刺激は、無意識的に、心身に影響を及ぼしていると考えられた。それらのことから、例数は少ないものの、臨床の現場において、色彩をコントロールすることで、対象者の心身状態を良い方向に導ける可能性が考えられた。

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