脳血管障害片麻痺者の水中歩行の特性と効果


キーワード:片麻痺、水中歩行、錘の装着





横山 知里
近年体重免荷歩行は、脳血管障害片麻痺者の歩行練習や機能維持の有効な手段として注目されている。その方法の1つとして水中歩行があるが、浮力の影響で患側が必要以上に浮いて歩きにくいというデメリットも存在する。そこで本研究では、軽量の錘を使用した水中歩行の特性及び効果を明らかにし、より快適な水中歩行の方法を検討することを目的とした。対象は脳血管障害片麻痺者の男性2名(60.0±7.1歳、下肢Br. stageX〜Y)であった。臍上を水位とした実験水槽内のトレッドミル上を、10箇所の身体標点にLEDマーカーを付けた状態で、5段階の速度をそれぞれ30秒間歩行した。運動条件は、患側にのみ錘(以下PW)、健側にのみ錘(以下NPW)、錘なし(以下default)とし、錘はダイビング用ウェイト(500g)を足首に装着した。歩行の様子は水中でデジタルカメラにて撮影し、その分析・検討は、歩行パラメータ(立脚/遊脚時間、ストライド長)及びつま先の軌跡について行った。被験者両名から、PW条件下の歩行が一番歩きやすいという感想を得た。PWでつま先の動きのブレが小さく、さらに左右のストライド長が最も大きくなったことから、患側への錘の装着は浮力を軽減し、患側の遊脚時と立脚時の安定性を引き出したと考えられる。しかし、一方では錘の装着による効果が表れない結果もみられた。これらのことから、片麻痺者の水中歩行における患側への錘の装着は、対象者によってその影響が大きく異なることが可能性が示唆される。よって対象者の身体状況や歩容などの条件と錘との関連を明らかにする必要があり、さらには水中歩行を行うことで陸上歩行に与える影響についても検討していく必要があると考える。

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