青年期高機能広汎性発達障害者の運動能力と体力〜3事例のエピソードをとおして〜


キーワード:青年期、高機能広汎性発達障害、体力特性




熊谷 俊介
本研究では、青年期以降に高機能広汎性発達障害(以下HFPDD)と診断された3名(男性2名、女性1名)を対象として、体力測定とスポーツ指導を実施し、エピソードを記録した。その結果、体力測定では3名ともに全身持久力以外の体力要素で低下傾向を示した。特に、平衡性は低下していた。一方、全身持久力ではスポーツ指導前から標準値程度を示した。そして、体力測定やスポーツ中の様子から、身体動作の不器用さ、言語指示の理解の困難さ、感覚の知覚・認識の違いなどが見られた。しかし、対象者の障害特性や能力に留意して、段階的な指導や肯定的なフィードバックをしながら行うことで防衛的な反応なく実施できた。また、スポーツ指導後には、3名ともに全身持久力で標準値を超えるに至った。今後は、多くの事例から青年期HFPDD者の体力特性を検討することや、身体協応性を評価可能な検査バッテリーを開発することも重要な課題であると考えられる。

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