障がい者のメタボリックシンドローム改善のためのアプローチ


キーワード:片麻痺、メタボリックシンドローム、チームアプローチ



山口 裕輝
【目的】下肢に機能障害がある身体障がい者では、移動制限による身体活動量の低下等からメタボリックシンドローム(以下MetS)に罹患し易い。しかし、日常生活において、彼らのMetS改善の為の効果的な対策は殆ど行われていない。そこで、本研究は、より日常生活に近い環境下で、片麻痺等で移動制限をもつ障がい者に対してのMetS改善の為のアプローチについて検討する事を目的とした。
【方法】対象者は、脳挫傷による右下肢機能障害男性(年齢34歳、身長179.0cm、体重89.4kg)、Sub.Aと、脳卒中による左上肢機能全廃、左下肢機能障害男性(年齢44歳、身長173.0cm、体重79.3kg)、Sub.Bの2名である。共にBMIが25以上、腹囲が85cm以上、脂質異常症であった。アプローチは、運動指導(リハビリテーション体育士)、生活指導(看護師)、栄養指導(栄養士)を3ヶ月間定期的に行った。身体計測、血液検査、全身持久力、腹腔内臓脂肪面積のMetSに関する項目を介入指導前後に測定を行った。
【結果・考察】各専門職が、3カ月の介入指導を行った結果、両者に、体重、腹腔内臓脂肪面積、体脂肪が減少し、除脂肪体重が増加した。また、HDL-コレステロール(HDL-C)の増加、中性脂肪(TG)の減少、全身持久力の向上、生活全般の改善が認められた。これらのことから、移動制限を持つ障がい者のMetSの改善にも、健常者同様に、チームによるアプローチが、MetS改善を促す方法であると考えられる。

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