リハ・スポーツとしてのゴールボールの再活用


キーワード:ゴールボール、運動強度、レクリエーション



寺本 朋弘
<目的>本研究は、視覚障害者のスポーツのひとつであるゴールボール(GB)のゲームにおける運動強度を明確にし、健康づくりからレクリエーションまで幅広く楽しめるスポーツとしての活用を模索することを目的とした。
<対象>対象者は、GB女子日本代表5名(代表群)および晴眼者学生6名(初心群)の計11名であった。
<方法>実験@:運動強度は、GBゲームの前後で、安静時、ゲーム終了直後のHRを触診により測定した。また、ゲーム中のMetsは、運動負荷テストより得られたHRとVO2の関係式に、測定したHRを代入し、推定した。
実験A:実験@の結果から、スローイング姿勢を座位、膝つき、立位(1歩助走)としたレク・ルールを作成し、GBゲームと同様の方法で運動強度を測定した。
<結果・考察> 実験@:代表群では、GBゲーム中の全ての項目において初心群よりも有意に高い値を示した(p < 0.01)。また、スローイング数/分およびセービング数/分も代表群が初心群よりも有意に高値を示した(p < 0.01)。さらに、両群ともにスローイング数が有意に高い値を示した(p < 0.01)。これは、GBゲームの運動強度が中等度以上であり、スローイング数が運動強度を増加させる一因であることを示唆している。
実験A:レク・ルールを用いたゲームは、GBのゲームと比較すると、各項目に有意差は認められなかった。また、各スローイング姿勢での運動強度はLTに相当する値であった。つまり、レク・ルールのゲームは健康づくりに適した強度の運動であると考えられる。
以上のことより、レク・ルールは、対象者の技術レベルや身体状況に応じたスローイング姿勢を選ぶことで、健康づくりに効果的な運動強度が得られると考えられる。しかし、視覚制限やセービング姿勢による運動強度への影響など、更なる検討を行う必要もある。

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