本研究は、車いす使用者に対する運動処方を行う際の一指標を得ることを目的に、健康な男子学生1名を対象にトレッドミル上での車いす駆動を行い、上肢運動によるMETSの一覧表作成に向けて基礎データの蓄積およびその妥当性を検討した。 その結果、漸増的多段階負荷試験においては、負荷量(スピード)が上がるにつれHR、VO2、VCO2は増加した。また、スピードが上昇するにつれて、ピッチ回数も増加する傾向が見られ、駆動方法により大きく3つのグループに分かれると考えられた。また、単一水準定量負荷試験から得られたMETSにおいては、健常者のそれと比較して低い傾向にあったが、同じスピードで走行する場合でもピッチ回数を変えることで、負荷量の制限や不足への対応が可能であることが示唆された。しかし、今回の研究では車いすの惰性走行を考慮しておらず、よって得られた結果については信憑性が低いと思われる。 今後は、上肢運動が中心となる車いす使用者においても、安全で効果的な運動処方を行うためにも、車いす駆動による運動強度を明確にする必要があると考える。 |
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