競技用車椅子駆動の動作筋電図特性


キーワード:競技用車椅子、車椅子マラソン



福田 直美

本研究は、車椅子マラソンのクラス分けで最も障害が重度とされ、競技人口も少ないT51クラスの選手が、マラソンに取り組み、完走するために必要なトレーニング法を検討することを目的とした。ハーフマラソン完走経験者と初心者1名ずつを対象に、競技用車椅子駆動時の動作と筋の活動を測定し、それぞれの特性について比較検討した。
その結果、経験者、初心者に共通してプルアップ期(ハンドリム背面に手の甲を接触させ、引き上げる局面)で多くの筋が活動していることから、ここで駆動力を得ている可能性が高いのではないかと示唆された。特に、経験者は初心者に比べて、プルアップ期で主に三角筋、大胸筋、僧帽筋が活動していることから、肩関節周囲の筋を使って駆動力を得ているのではないかと考えられる。一方、フォロースルー期(手をハンドリムに接触させたまま車輪の勢いを止めないようにハンドリム下方までまわす局面)では、特に経験者で安定した駆動動作が行えており、随意的に大きな力を発揮することが難しい上腕三頭筋においても大きな活動がみられたことから、車椅子駆動という周期的な動作からハンドリムを押す力をも発揮して、効率よく駆動力を得ているのではないかと考えられた。
以上のことからT51クラスの選手への指導やトレーニングでは、@肩関節周囲筋(三角筋・大胸筋・僧帽筋)を強化し、プルアップ期でそれらの筋を上手く活用し駆動力を得ること、A速度に関わらず安定した駆動動作を行い、プルアップ期でもフォロースルー期でも効率よく駆動力を得ること、が重要なポイントとなるのではないかと考えられる。

このページのトップへ戻る

Copyright(c) 1998-2008 Rehabilitation Sport Net