肢体不自由者を子に持つ母親の身体的負担とその克服方法


キーワード:肢体不自由者、母親、身体的負担



市岡 憲介
肢体不自由児・者(以下、児者とする)に対する支援や研究は医療・教育(以下、療育とする)・福祉などの分野から様々な形で行われている。主たる介護者である児者の母親(以下、母親とする)は、日常介護に平均して一日7時間あまりを費やしており、支援やサービスの整備・充実が望まれていた。一方、介助者である母親の身体的負担軽減のために、重症心身障害児施設による短期入所サービスや福祉サービスによるヘルパー派遣などにより介護からの一時的な解放というかたちでの支援が行われていた。
 本研究は、児者を子に持つ母親の介護による身体的負担や利用しているサービスの現状および介助者である母親に対する支援機関やその内容を文献等により調査した。また、事例研究として、肢体不自由者(H.Y、28歳、男性、身体障害者手帳1級)を子に持つ母親(Y.Y、63歳)に対して面接法による聞き取り及び介護動作観察を行った。加えて介護動作観察の結果から、更衣介護動作に対し身体的負担の軽減を目的とした助言や指導を行った。
 文献研究において、介護者としての母親の身体的負担は大きく、それに対する支援内容の多くは、利用や使用できる時間や状況が限られていた。事例研究に見られるような介護動作の見直しによる身体的負担の軽減は、母親の日常介護における身体的負担軽減の一方策として有効であることが示唆された。

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