立位運動が頸髄損傷者の運動時の呼吸循環応答に及ぼす影響


キーワード:立位運動、頸髄損傷者、呼吸循環応答



清水 明日香
頸髄損傷者と健常者を対象に座位での上肢の能動運動と下肢の受動運動、立位交互歩行運動、車椅子運動での漸増負荷試験を行い、どのような運動が頸髄損傷者に健康上、有益になりうる運動かについて検討した。
多段階速度漸増負荷試験は、車椅子用高機能エクササイズマシーンによる上下肢運動(AC:頸髄損傷者(T群)7名、健常者(C群)4名)、立位交互歩行様運動機器による立位運動(ES:T群7名、C群5名)、車椅子ローラーによる車椅子駆動運動(W/C:T群8名、C群6名)で行った。各運動中の酸素摂取量(VO2)、換気量(VE)、血中乳酸濃度(LA)、心拍数(HR)を測定し、得られた結果より換気当量(VE/VO2)、酸素脈(O2pulse)を算出した。ニコニコペースに相当すると考えられる酸素摂取量400ml/minの運動では、VE、VE/VO2ともにW/C-T群が他の群の約2倍という高値を示した(p<0.05)。また、HRは、AC-C群が最も低く、O2pulseは、W/C-T群が低かった。以上のことから、頸髄損傷者が下肢の運動を伴わない上肢のみの運動を行った場合、酸素供給効率が悪く非常に疲れやすい運動であることが考えられ、それを改善するためには、麻痺域を積極的に動かすことが必要であると考えられる。つまり、立位運動など麻痺域も積極的に動かすことが、頸髄損傷者にとって健康上有益になりうると推測される。

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