本研究は、頸髄損傷四肢体幹麻痺(C7レベル)の女性1名の水泳活動を通して、一部未自立な移乗(トランスファ)能力及びQOL(日常生活の質)の向上に対し、水泳活動がどのような効果をもたらすかについて調査・研究することを目的とした。移乗に関して、自立に到らなかったが、介助量は軽減した。自立に到らなかった原因は適切な運動処方や指導、指示ができなかったという指導力不足による筋力強化の不十分さであると思われる。そのようななか介助量が軽減したのは、水泳活動が日常時より多くの移乗動作を包含しているため、移乗動作の繰り返しが調整能力を向上させたことによるものと考えられる。QOLに関する活動後のアンケートでは、水泳と前後の諸動作が相互に働き合った結果、積極性や自発性及び問題処理能力の向上がみられた。水泳活動は安全面を万全に確保して行なった上で適切な計画と指導のもと行なえば、日常生活動作能力及びQOLの向上を促進する可能性をもっていると示唆された。 |
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